旭天鵬関へ。
先日、さる施設を利用した時のことです。
今どき珍しく利用客と職員さんで話が弾み、
こんな発言が飛び出しました。
「ではお客様、お相撲がお好きなんですね?」
「見ているだけで詳しくは…(苦笑)」
「私もよく存じませんが、あの方だけはいつもチェックしてるんです。
ええと…ええと、旭天鵬さん!」
(さながら午後休憩時の一粒のチョコレートにアーモンド・・・)
なんということでしょう。本当は相撲に興味などなさそうな、
綺麗にお化粧したあでやかで優しげな美女の口から、
白鵬関や日馬富士関を飛ばして、
いきなり旭天鵬関のお名前が出るなんて!
驚きをよそに、彼女は続けます。
「あの人は下積み時代がとても長かったんでしょう?
でも、この間初めて優勝なさったんですよね。
ニュースで見てとても感動しました。何ておっしゃいましたっけ?
あの偉い横綱の人が優勝パレードに付き添ってくれて。
奥様もすごく泣いてしまわれて。お子様方もまだお小さいとか…」
「その小さいお子さんが大きくなってお父様のお仕事が
わかるようになるまで、現役を続けるご覚悟なんですって」
「まあ、本当ですか?なんて凄い方!
ところで今場所は番付のどのあたりにいらっしゃるのですか?」
いつもチェックしていると言った舌の根も乾かぬうちに…
などと思うのは野暮と言うものでしょう。
ここでたいせつなのは、白鵬関すら「あの偉い横綱の人」
で片付けてしまう人にまで知られているということ。
あなたが今、そしてこれからをもって成そうとしている事を、
日本語では「偉業」と申します。ご存知ですね。
追記 魁聖関へ。
魁皇関や旭天鵬関の手前、
お若いあなたはまだまだ永い研鑽を積まなければなりませんね。
さぞや気の遠くなる思いを味わっておいででしょう。
ただ私個人として、いつぞや稽古総見で目にした、
公衆の面前で棒で叩かれて叱られる憂き目にあいながら、
言い訳ひとつなく、恥ずかしがりも悄気も拗ねもふくれもせず、
ただ素直にハイと頷き、他の力士たちとすこし離れた位置で、
三役以上の稽古を睨み付けながら
一人黙々と四股を踏んでいたあなたの、
えぐるような光を宿したまなざしを、信じていたいのです。
送信者お名前:栄寛子